Ishiguro石黒 蓮
社会科学部 社会科学科 卒
2016年入社
アセット戦略部 投資開発グループ
入社後の3年間、仲介営業を経験した後、現在のアセット戦略部投資開発グループに異動。 当社にとって初の物流施設開発プロジェクトに参画し、それまで経験のなかった開発用地取得〜売却までの業務を担当する。
はじめての
物流施設開発への参画、
それは未踏の事業への挑戦。
2021年7月、小田急不動産初の物流施設「小田急不動産ロジスティクスセンター印西」が竣工した。 千葉県印西市は東京都内・成田空港のどちらにもアクセスが良好で、物流拠点の需要が大きく見込まれる地域。 小田急不動産では社会インフラとして物流施設の重要性が今後ますます増大するとの認識のもと、投資用不動産として積極的に投資・開発対象とするアセットとして物流施設の開発事業に着手することを決意。 しかしそれは、社内で誰も経験のない道筋を切り拓くプロジェクトだった。
社会科学部 社会科学科 卒
2016年入社
アセット戦略部 投資開発グループ
入社後の3年間、仲介営業を経験した後、現在のアセット戦略部投資開発グループに異動。 当社にとって初の物流施設開発プロジェクトに参画し、それまで経験のなかった開発用地取得〜売却までの業務を担当する。
ゴールは
投資用不動産開発に挑み、
会社の収益拡大に
寄与すること。
「小田急不動産ロジスティクスセンター印西」の開発用地買収にはじまり、テナント誘致交渉、設計・建設・竣工、運用後の売却までの全行程における中心的な役割で担当したのが、2019年に仲介営業部から投資開発グループに異動してきた石黒蓮である。 それまで不動産売買仲介の経験しかなかった石黒にとって、すべてがはじめての経験だったという。
「ゴールは投資用不動産として賃貸収入を得ること、そしてその物件を売却し開発利益を得ることで、会社の収益に貢献すること。 その最初のアクションは、開発用地を仕入れることでした。 最初こそマネージャーと私の2名体制でしたが、仲介での不動産売買の経験が買われ私が実務担当に。 しかし当社としてもはじめての物流施設の開発なので、どのような立地にどのくらいの大きさ、スペック、賃料で物件を開発すればテナントの誘致が可能なのか、社内に答えはありませんでした。 必然的に社外の専門家や協力会社と関係を構築し、パートナーシップを築きながらプロジェクトを動かしていくことになったのです」
仲介ルートの関係者と情報収集を進める中、いくつかの用地の中から有力な候補として印西市の土地が挙がる。 土地の場所、広さ、建設にかかるコストを検討した石黒は「物流施設に適した用地」との手応えを得る。 そしてテナントの立場からその用地がどう映るのかを吟味した結果、「この場所だ。 印西ならプロジェクトをはじめられる」と湧き上がる想いを信じ、用地取得に動く。 この用地取得の検討段階で、石黒は次のステップとなる開発および運用に係るコスト・リスクの洗い出し、テナント誘致に向けてのマーケティングも同時並行でこなしている。 それは土地の売買契約の成立と同時に、全てをスピーディーに進めていくためだったと石黒は語る。
「まず、豊富な情報を持つ仲介パートナーと連携して事前にテナント情報を分析し、印西の規模にマッチする候補先の属性・規模・用途からターゲットを想定しました。 そして土地の売買契約成立と同時にアプローチを開始。 マーケットへ物件概要や賃料、契約条件などの情報を開示し具体的な交渉に応じられる顧客を探索しました。 一方で、やはり売買契約成立と同時に、コンストラクションマネジメントをコンサルティング会社に依頼しました。 物流施設の設計プロセスや施設内の動線確保のポイントなどの要件を整理し、それに基づいてゼネコンを選定するためです。 この選定は社内の建築のスペシャリストが中心となって行いますが、私はプロジェクト全体のマネジメントを行うため、プロジェクトの全てのフェーズに参画し、事業を推進しました」
経験のない任務をすべて一人でこなすには限界がある。 用地取得が起点となって次々に直面する課題に対し、素直にそう感じた石黒は、適切な協力会社とパートナーシップを結び、積極的に関係者の間を駆け巡って情報収集・意見交換を実行。 不足する知識を補うためには、同業他社の物流施設の見学も厭わず申し出るなど、どん欲に知識吸収を図りながらプロジェクトに全力で向き合っていった。
「投資開発」という事業の柱と、
「社外リソース」という無形の
財産を生み出す。
こうした大型の開発プロジェクトで難しい舵取りとなるのが事業収支の管理だ。 例えば設計・施工の段階では、想定外の事案対応によって当初計画よりコストが膨らむなどのリスクが伴う。 また施設の使い勝手が悪ければテナント誘致に悪影響をおよぼしかねない。 そのいずれもがプロジェクト収益の最大化を阻害する要因となる。 開発〜運用フェーズでの石黒の任務は、こうした「建設現場のコスト管理」や「良好なプロパティマネジメントの導入」を抜かりなく実行していくことだった。
「設計・施工管理の面では、現場で起こる変動要因に対処できるようコストに幅を持たせることで、計画した予算内で設計・施工をコントロールしました。 また稼働後は、賃料に見合う“ベネフィット”を顧客に提供することが必須です。 私自身、建設時のコンストラクションマネジメントなどで学んだ知見も活かしながら、外部のプロパティマネジメント会社と施設管理項目を詳細に詰め、委託しました。 その甲斐あって顧客からは高い評価を得ています。 」
こうして2021年7月に無事竣工を迎えた『小田急不動産ロジスティクスセンター印西』は、運用後も順調に賃料収入を計上。 そして石黒は、最終フェーズとなる投資家への売却に向けた準備を進めている。
「プロジェクト全体の評価は売却後に確定しますが、実は印西と並行して複数の物流施設案件が進行中で、その1つは印西と同様に22年度の売却を予定しています。 現時点で、新しく取り組んだ投資開発案件はいずれも十分な収益を確保しており、今後の売却にも手応えを感じています」
印西のプロジェクトを成功裏に終えようとしている石黒は、会社における投資開発事業の意義を次のように語る。
「これまでの小田急沿線を中心とした不動産事業から、日本全国での投資・開発や、未開拓だった物流施設などのアセットへの参入も十分に可能だとわかり、事業領域を拡げる一歩になったこと。 そして『分譲・賃貸・仲介』の3本柱に、『投資開発』という新たな柱に育ちうるセグメントが追加され、会社の収益拡大に寄与できたこと。 これらが大きな意義だと感じています。 さらに、『買取再販業』といった別のビジネスも起動に乗りはじめており、将来が楽しみです」
「そしてもう1つ……」と、石黒は付け加える。 「印西をきっかけに、投資開発案件を協業できる社外の専門家や協力会社とパートナーシップを構築し、深い関係を築けたことの意味も大きいですね。 こうしたパートナーからの業界動向や案件情報を基づいた、今後の開発案件の意見交換もはじまっています。 少数精鋭の組織である私たちにとって、この社外リソースを築けたことは無形の財産になりました
固定観念にとらわれずに新しいことにチャレンジし、会社に成長をもたらす原動力になっていくこと。 投資開発グループに寄せられた会社の期待は、この一点に尽きる。 それに応えられることを証明できたのが『小田急不動産ロジスティクスセンター印西』だったと、石黒は実感している。
※掲載情報は2022年12月時点のものです