「CAFÉ&SPACE L.D.K.」
プロジェクト



住み続けたい街のために
共創により地域価値を創造する。
outline
2019年3月、小田急グループが長年住宅開発を行ってきた小田急多摩線栗平駅前に、多世代の交流を生み出す地域コミュニティ施設「CAFÉ&SPACE L.D.K.」が開業した。本プロジェクトのきっかけは、当社が近隣エリアでの分譲を完了した後も、住民の方々にいつまでも安心して住み続けてほしいという切なる願い。それは、地域コミュニティ施設を核にして地域共創価値の創造へとつながっていく息の長いプロジェクトのはじまりでもあった。
project flow
presentor

yuka kikuchi
菊地 友佳
総合政策学部 政策科学科卒
2002年入社
経営企画本部 経営企画部 顧客開発・IT推進グループ
入社後、経営企画本部 総務部 総務グループに配属。その後、産休・育休を経て、現在の顧客開発・IT推進グループに異動。成約者会員組織運営、WEBサイト運用、多機能店舗運営などを通して、顧客との接点機会の創出・育成に取り組んでいる。
planning
自分たちが長年開発・分譲してきた
大切なエリアが魅力的であり続けるために。
小田急グループは、1974年の小田急多摩線開業以来、約45年間にわたり、小田急多摩線沿線エリアで継続的に住宅開発を推進し、同エリアに分譲住宅を供給してきた。このエリアの分譲に関わった社員も多く、当社として思い入れの強いエリアだ。そんな中、多摩線における大規模な開発がひと段落したことに伴い、本施設の前身である当社の栗平駅前の販売拠点が2018年に閉所することに。その時、ある若手社員が問題提起した。「販売したら終わりという形で、我々がこのエリアから離れてよいのか?」と。それをきっかけに社内有志メンバー10名が集まり、プロジェクトがスタート。経営企画部で顧客開発業務に取り組んでいた菊地友佳もその問題提起に賛同しプロジェクトに参画した一人だった。
「当社として開発・販売が一旦終了したとしても、そのエリアに暮らしている住民の方々のお住まいの悩みは続いていきます。小田急沿線で地域に根ざした事業活動を行っている当社にはそうした悩みの解決を担っていく使命があると思いました。加えて、私自身多摩線エリアに住んでいて、実家も近くにあることから個人的にも思い入れがありました」


栗平駅前の販売拠点だった場所に、どんな役割・機能を付与したら、我々としてこのエリアへの責任を果たしていけるか?プロジェクトメンバーたちは検討しはじめた。最初に取り組んだ住民アンケート(ニーズ調査)で分かったのは、「飲食できる場所やみんなが集まる場所がない」という声が圧倒的に多かったことだ。一方、人口動態リサーチで分かったのは、現状、世代バランスは悪くない状況であること。しかし、小田急不動産が分譲をストップしまうと新たな流入が起こりにくくなり、今後は高齢化が進んでしまうことが予想された。だからこそ、今のうちに街の魅力づけを行って、きちんと若い世代の流入が起きるような仕掛けをつくっていく必要がある。プロジェクトチームはそう結論づけた。そしてこの結論から、みんなで集えるような場所=コミュニティ施設を開業する話が持ち上がったのだった。
「私たちの思いの根底には、自分たちが長年住まいの開発・供給を手がけてきた大切なエリアだからこそ、住民の方々にはいつまでも安心して住み続けてほしいし、住みたい街として選ばれる魅力的な街であってほしいという願いがありました。そのためにまず街のみんなが集うことのできるコミュニティ施設をつくり、この場所をきっかけにして、私たちとして街のために何ができるか考えていこうということになりました」
その後、プロジェクトチームは3〜4か月にわたってブレインストーミングを重ね、施設のコンセプトを詰めていった。 その結果、住民同士だけでなく、住民と小田急・地域の企業・団体の方々が継続的に関われる場を目指し、「気軽に集い、くつろげる、憩いの場所」というキーワードをベースに、幅広い世代が「つながる」ことのできる多目的な場所に、という思いを込めて、コンセプトを「みんなのたまり場」とした。 店名は「CAFÉ&SPACE L.D.K.」。 その由来は、家のみんなが集う場所・くつろぐ場所という意味合いを含めた「リビング(L)・ダイニング(D)・キッチン(K)」と「ライフ(L)・デザイン(D)・くりひら(K)」がかけ合わされている。
コンセプトが決まると、プロジェクトチームは「CAFÉ&SPACE L.D.K.」開業に向けて、急ピッチで動いていった。

creating
同じ思いを持つ仲間がつながることで、
共創の輪が広がっていく。
「CAFÉ&SPACE L.D.K.」の成功の鍵は「飲食」。しかし、小田急不動産にはそのノウハウがない。そこで課題となったのが、どんなパートナー会社と組むかであった。プロジェクトチームがこだわったのは、自分たちの思いを受け取ってもらえる会社であること。メンバーみんなで必死に探し、ついにある会社とめぐり合った。
「その会社は、地域コミュニティ形成を目的としたカフェ運営を各所で手がけていて、自社運営だけでなく、運営受託も行っているとのこと。こちらの会社だったら、同じ思いを持ってやってくれるだろうと思いました。最初はこちらからホームページのインフォメールで長文の熱いメッセージを送って。その結果、私たちの思いに共感してくださったことから、協業がはじまりました」
そしてカフェ運営会社とともに、店舗デザイン、家具選び、プロモーション計画などを進め、開業を迎えたのは2019年3月。それに先立ち、開業案内チラシを手に社員総勢60名で周辺6000戸を訪問し配布するとともに、地域の住民の方々向けの内覧会はもちろん、周辺の自治会・町内会を招いてのレセプション、周辺の企業・活動団体向けの内覧会などを実施した。
「私たちが大切にしたかったのは、地域の皆様に思いを丁寧にお伝えすること、そして地域の皆様の声を聴くこと。そこには、“共創”という考え方がありました。つまり事業者とお客様の関係を超えて、ともに街を盛り上げていく仲間を見つけることが、本プロジェクトの肝なのだと。内覧会で見つけた仲間のお一人は、地域団体の代表の方。目的意識が事業ではなく、“この街を良くしたい、みんなとのつながりを大切にしたい”という思いを持った方なので一緒にやっていけると思い、こちらから声をかけて。その後、一緒に地域活動をつくっていくことになりました」


地域団体との協業ではじまったのは、「小田急のくらし部」。 部の活動内容は、ふらっとくり〜ん部(定期的な地域美化活動により、住民や地域のことを知る・つながる機会を創出)、子どもしんぶん部(子どもたちの目線で地域・沿線の施設・スポットを取材し、地域の魅力を発掘・発信)、ベジ活部(地域野菜を活用し、メニュー化、イベント企画を行い、地産地消や援農活動を促進)の3つ。 2019年7月に「CAFÉ&SPACE L.D.K.」で行った「小田急のくらし部」立ち上げ時の会合には、思いに賛同していただいた約40名が集まった。
「3月の開業からわずか4カ月後に、農家の方、町内会の方、郵便局の方から子どもまで、いろんな年齢層のいろんな立場の方々に来ていただいて。まさにこれが私たちの目指している“共創“の形だなと感動しました。私たちはハブとして集える場をつくっていきますが、あとはみんなで自由にいろんな形でつながってもらえれば、その輪は自発的に広がっていく。それが理想だと考えています」
「小田急のくらし部」を皮切りに、その後、「CAFÉ&SPACE L.D.K.」を核とした地域活動として、「ふらっとリビング〜多世代交流型居場所づくり〜」や、多摩大学と小田急不動産の協業による「マチカド子ども大学」(2022年6月プレ開校)などが誕生。多様な世代、属性の方々みんなにとって居心地の良い場所になるよう、今も創意工夫を続けている。
「開業後4年経った今では、多くの方々にいろんな目的で利用していただける場として、また地域イベントの発信地として、地域の皆様に認められるコミュニティ施設になっています。小田急不動産としてこれからも、人がつながり、街が活き活きとしていく、そんな魅力的な街づくりに貢献できるよう取り組んでいきたいと思っています」

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プロジェクトについて
街や組織を変えるさまざまな変革を知る。
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掲載情報は2022年12月時点のものです